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最高裁判所第二小法廷 昭和31年(あ)1112号 決定 1958年7月31日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人本田正敏の上告趣意第一点は、判例違反をいうが、原判決は論旨引用の判例と相反する判断をしていないこと判文上明らかであるから、所論はその前提を欠き、同第二点は、事実誤認、単なる法令違反の主張に帰するものであり、被告本人の上告趣意は、事実誤認の主張を出でないものであって、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない(なお、刑法一七二条にいう虚偽の申告とは、申告の内容をなすところの刑事、懲戒の処分の原因となる事実が客観的真実に反することをいうと解するを相当とし、第一審判決の認定した事実によると、被告人が藤家市次をして竹田隆徳に刑事上の処分を受けしめる目的で司法警察員に対し申告せしめた事実は虚偽であることが明白であるから、原判決には所論の違法は存しない。)また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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